新NISAが始まり、非課税投資枠が大幅に拡大されたことで、夫婦二人でコツコツと資産形成を目指す方にとって、まさに夢のような制度となりました。しかし、「夫婦二人で3,600万円」という金額を聞くと、途方もなく感じる方もいらっしゃるかもしれません。
筆者自身もそう思います。非課税枠の3600万円を埋めるのは、簡単なことではありません。
本記事では、本気で夫婦で3,600万円まで埋めようと考えている筆者夫婦の、具体的なシミュレーションとロードマップを通して、夫婦二人で新NISAの非課税投資枠3,600万円を積みあげていくための「究極の皮算用」をご紹介します。
なぜ「皮算用なのか」
タイトルに「皮算用」としている理由は、投資とはどうなるか誰もわからないモノだからです。
投資は減るかもしれないし、増えるかもしれない。
絶対に増えるとは思わずにあくまで一例として楽しんでください。

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新NISAの基本をおさらい
まずは、新NISAの基本をおさらいしておきましょう。
- 非課税保有限度額: 一人当たり1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円まで)
- 年間投資枠: つみたて投資枠120万円、成長投資枠240万円、合計360万円
- 非課税期間: 無期限
夫婦二人であれば、合計で3,600万円(1,800万円 × 2人)の非課税投資が可能になります。この大きな枠を最大限に活用することが、将来の資産形成の鍵となります。
夫婦でNISAを埋める!ロードマップシミュレーション
我が家で新NISAの非課税投資枠3,600万円を目標に、着実に資産形成を進めるためのシミュレーションです。
夫のNISA枠1,800万円が埋まった段階で夫の積立を停止し、その後は妻のNISA枠を埋めていく計画で進めます。
シミュレーションの前提条件
- 夫の積立: 毎月10万円 + ボーナス月80万円(年1回)= 年間200万円
- 妻の積立(夫のNISA枠達成まで): 毎月3万円 = 年間36万円
- 妻の積立(夫のNISA枠達成後): 毎月10万円 = 年間120万円
- 投資商品: 全世界株式インデックスファンドなど、分散の効いた低コストな投資信託を想定
- 想定利回り: 年間5%
- 非課税保有限度額: 夫婦合計3,600万円(一人当たり1,800万円)
シミュレーション結果
この計画で積み立てた場合の、夫婦合計の投資元本と評価額の推移を見ていきましょう。
経過年数 | 夫の投資元本 | 妻の投資元本 | 夫婦合計投資元本 | 夫婦合計評価額(年利5%) |
---|---|---|---|---|
1年目 | 200万円 | 36万円 | 236万円 | 247.8万円 |
2年目 | 400万円 | 72万円 | 472万円 | 508.8万円 |
3年目 | 600万円 | 108万円 | 708万円 | 790.6万円 |
4年目 | 800万円 | 144万円 | 944万円 | 1094.6万円 |
5年目 | 1,000万円 | 180万円 | 1,180万円 | 1,422.3万円 |
6年目 | 1,200万円 | 216万円 | 1,416万円 | 1,775.4万円 |
7年目 | 1,400万円 | 252万円 | 1,652万円 | 2,155.8万円 |
8年目 | 1,600万円 | 288万円 | 1,888万円 | 2,565.4万円 |
9年目 | 1,800万円 | 324万円 | 2,124万円 | 2,900.5万円 |
10年目 | 1,800万円 | 324万円 + 120万円 = 444万円 | 2,244万円 | 3,122.9万円 |
11年目 | 1,800万円 | 444万円 + 120万円 = 564万円 | 2,364万円 | 3,356.6万円 |
12年目 | 1,800万円 | 564万円 + 120万円 = 684万円 | 2,484万円 | 3,601.7万円 |
13年目 | 1,800万円 | 684万円 + 120万円 = 804万円 | 2,604万円 | 3,858.7万円 |
14年目 | 1,800万円 | 804万円 + 120万円 = 924万円 | 2,724万円 | 4,128.0万円 |
15年目 | 1,800万円 | 924万円 + 120万円 = 1,044万円 | 2,844万円 | 4,409.8万円 |
16年目 | 1,800万円 | 1,044万円 + 120万円 = 1,164万円 | 2,964万円 | 4,704.6万円 |
17年目 | 1,800万円 | 1,164万円 + 120万円 = 1,284万円 | 3,084万円 | 5,012.8万円 |
18年目 | 1,800万円 | 1,284万円 + 120万円 = 1,404万円 | 3,204万円 | 5,334.8万円 |
19年目 | 1,800万円 | 1,404万円 + 120万円 = 1,524万円 | 3,324万円 | 5,671.0万円 |
20年目 | 1,800万円 | 1,524万円 + 120万円 = 1,644万円 | 3,444万円 | 6,021.9万円 |
21年目 | 1,800万円 | 1,644万円 + 120万円 = 1,764万円 | 3,564万円 | 6,388.0万円 |
22年目 | 1,800万円 | 1,800万円 | 3,600万円 | 6,511.4万円 |
シミュレーションからの考察
柔軟な対応の重要性
夫のNISA枠が埋まった後に、妻の積立額を増やすという戦略は、夫婦それぞれの収入状況やライフイベント(住宅購入、子どもの教育費など)に合わせて柔軟に積立額を調整できるというメリットがあります。人生の後半にかけてお金がかかる時期がやってくるため、できるだけ早く積み上げて、お金のかかる時期はペースを落とす作戦です。
夫のNISA枠達成までの期間
夫は年間200万円の積立ペースで、9年目にNISAの非課税保有限度額1,800万円を達成します。この時点で、夫婦合計の投資元本は2,124万円、評価額は約2,900万円に達している見込みです。ここまでくれば家計はちょっとやそっとのことでは揺るがない盤石な家計となっています。
妻のNISA枠を埋める期間
夫のNISA枠が埋まった後、妻が月10万円(年間120万円)のペースで積立を続けると、妻自身の1,800万円の枠を埋めるのに、夫が枠を達成した9年目からさらに13年かかります。 つまり、積み立て開始から合計で22年目で、妻のNISA枠1,800万円も埋まり、夫婦合計3,600万円の投資元本を達成する見込みです。妻側は資産運用を月3万円で継続し、夫側が月7万円をフォローする想定です。
資産形成の最終的な見込み
夫婦合計の投資元本3,600万円が積み上がった22年目には、想定利回り5%で運用できていれば、評価額は約6,500万円に達する可能性があります。これは、投資元本の約2倍近くになる計算です。長期にわたる積立投資と複利の効果がいかに絶大かが分かります。特に後半の評価額の伸びは顕著で、着実に資産が成長していく様子が見て取れます。
まとめ:シミュレーションはあくまで目安。大切なのは「行動」と「継続」
ここまで、夫婦二人で新NISAの非課税投資枠3,600万円を埋めるための具体的なロードマップをシミュレーションしてきました。夫の枠を9年目で埋め、その後妻の枠を埋めていくことで、積立開始から22年目には夫婦合計3,600万円の投資元本を達成し、評価額は6,500万円を超える可能性があるという結果が出ました。
この結果を見ると、「私たちにもできるかも!」と希望が湧いてくるのではないでしょうか。しかし、ここで最も強調しておきたいのは、これらのシミュレーションはあくまで「皮算用」であるということです。
なぜ「皮算用」であることを強調するのか。それは、現実の投資の世界には、シミュレーションでは織り込めない様々な要素があるからです。
- 市場の変動: シミュレーションでは年利5%と仮定しましたが、実際の市場は常に変動します。好調な年もあれば、低迷する年もあります。時にはリーマンショックのような大きな暴落が起こる可能性もゼロではありません。
- ライフプランの変化: 転職、出産、育児、住宅購入、病気など、私たちのライフプランは予測できない形で変化することがあります。それに伴い、投資に回せる金額や期間が変わる可能性もあります。
- 税制改正のリスク: NISA制度は現時点では非常に魅力的ですが、将来的に制度が変更される可能性はゼロではありません。
これらの不確実性を考慮すると、シミュレーション通りに事が運ぶ保証はどこにもありません。しかし、だからといって悲観的になる必要は全くありません。
皮算用を現実にするための「行動」と「継続」
この皮算用が意味を持つのは、具体的な目標設定と、それに向かって行動するための道筋を示すからです。
- 目標の明確化: 夫婦で3,600万円という具体的な目標が見えることで、漠然とした不安が具体的な行動目標に変わります。
- モチベーションの維持: 定期的にシミュレーションと現状を照らし合わせることで、モチベーションを維持しやすくなります。
- 計画の見直し: ライフステージの変化に合わせて、この皮算用を適宜見直し、柔軟に計画を修正していくことができます。
最も大切なのは、「今日から始める行動」と「諦めずに続ける継続」です。
新NISAという素晴らしい制度が始まった今、この「究極の皮算用」を参考に、まずは一歩を踏み出してみませんか?そして、市場の波に一喜一憂せず、ご夫婦で協力しながらコツコツと積み立てを継続してください。きっと、将来の豊かな資産形成に繋がるはずです。
未来の安心のために、今できることから始めてみましょう。
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